
僕は海の見える町で育ったので、海は見慣れているんだけれども、モントリオールに移り住んでからは海を見ることがとてもまれになっていた。
たまたま出張で訪れたアメリカの町で、2年以上ぶりに海を見たときには何かしら落ち着いた気持ちがしてきた。
大きな波を避けるために、防波堤のようなものはどこの国でも作るのだなとか、いろいろ考えながら、カモメがのんびりしている姿を眺めていた。
防波堤の先まで行き、僕は大声を出してみることにした。
「わぁーーーーーー!」
一回目はなんとなく失敗したような気がしたので、2回大声を出してみた。
よく考えると意味もなく大声を出すことは早々あるものではないので、心の中がすっきりした気持ちになった。
カモメがびっくりするかなと思ったが、そうでもなかった。
彼らには僕の大声なんかよりももっといろいろな危険が隣り合わせなのかもしれない。


