Archive for the ‘思い出’ category

おたまじゃくし

7月 30th, 2009

用事があり車で出かけた帰り道、妻とよちよち歩きの娘を連れて見知らぬ町の高速のインターチェンジで降りて釣りをした。知らない町の知らない海で何が釣れるか分からないまま釣り糸を垂らすというのはなんだか楽しいものである。僕はそうやって時々予定外の行動をしてしまう。が、家族もよくそれに付き合ってくれるものだ。本当にいい妻をもらったものである。

適当に車を走らせると小さな港に着いた。小さな川から水が流れ込んでいて、海水が茶色く濁っていた。午前中に降った雨で川が増水しているのだろう。大きなスズキやヒラメの類が釣れないかなとワクワクしながらえさをたらした。しばらくして釣れたのは小さなハゼだった。まあ何も釣れないよりはましかと思い釣りを続けていた。すると、胴体の無いハゼが釣れた。ハゼの頭はまだ動いていて、明らかに他の大きな魚に食べられてしまった状態だった。スズキかヒラメの類がこの下にいると確信し、何とか釣りあげてやろうとそれまで釣ったハゼをえさにして釣りをはじめた。

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江藤君の自転車のカギ

5月 18th, 2009

大学生の頃、みんなで桂浜というところに自転車で行ったことがある。

砂浜に座ってみんなでクラスの出し物の話し合いをしたりして楽しく過ごした。

しかし、その帰りに一人が自転車の鍵を砂浜に落としてしまったと大騒ぎになった。みんなで広い砂浜を探し回るがまったく見つからない。

自転車の鍵を壊してしまうしかないなと相談していると、江藤君が「自転車の鍵は実は数種類しかないから他の人の鍵を試してみたら開くかも知れないよ」といいはじめた。

へーそうなんだと思いながら見ていると、江藤君は自分の自転車の鍵を鍵を失くしてしまった自転車に差し込んだ。

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そんな簡単に開くわけないだろとみんなで見守っていると、

「カシャ」という音とともにカギが開いた。

「えええええ~!」

とみんなで目を丸くして驚いた。

江藤君すごいじゃんということで江藤株が急上昇した。

しかし、よく考えてみると、江藤君の鍵をその自転車に使うと江藤君の自転車が使えなくなってしまうのであまり意味がなかった。

結局、自転車の鍵を破壊して帰ったのだが、手品師のような江藤君のカギの事は忘れられない。

クロピンとサネイ

5月 15th, 2009

それほど親しくなかった高校の同級生にクロピンとサネイがいます。

クロピンはすごく貧乏な家庭で、いつも小さすぎる汚い学ランを着ていました。向かい島に住む同級生はみんなフェリーで学校に通っているのに一人だけ尾道大橋を一時間も遠回りして自転車で通っていました。100円のフェリー代を親が払ってくれないからでした。クロピンはいつもくさい臭いがしていました。おなかの調子が悪いのか時々おならのくさい臭いが臭ってくるのです。当然みんなからは好かれることはなく、性格もおとなしくしゃべっているところをほとんど見たことがありません。だけれども勉強は得意で、怠け者の僕なんかよりはるかに成績が優秀で数学はいつも90点位取っていたと思います。彼が答案を返してもらう時にいい点数だった時にガッツポーズをして喜ぶ表情は今でも忘れられません。

そんなクロピンが昼食の時間に、弁当を食べずにうつむいています。それに気づいたサネイが声をかけていました。

サネイは貧乏な家庭ではないけれども、微妙に人と付き合うのが下手で、理由は分からないけれどもなんとなく男子からは嫌われている存在でした。

話を聞いていると、どうやらクロピンは弁当を持ってくるのを忘れてしまったらしいのです。クロピンは何も食べずに椅子に座ってうつむいていました。弁当を忘れたら学食に行って食べればいいのですが、クロピンはお金を持っていません。それに気づいたサネイがお金を貸してやるから食べてくればと声をかけていました。ところが、お金を借りても返せれないから。。とクロピンは断っています。

そうです。クロピンは親から一銭も小遣いをもらったことがないのです。だから、お金を借りても返すことができない。僕は相当気の毒で仕方がありませんでした。

僕とサネイは二人で数百円づつクロピンにあげる事にしました。二人で何とか説得してクロピンはようやくお金を受け取り学食に行きました。

僕はその時、そんなやさしいサネイの男気を見直しました。そして、サネイがなんでみんなから嫌われているのだろうと不思議に思いました。

今考えると僕の高校生活は能天気にも女の子にもてるためだけに生きていたような浅はかな高校生だったと思います。高校3年の時には自分の夢を追いかけるために受験勉強に没頭して他の事は何も考えませんでした。今考えるとそういう状況はとても豊かな環境だったのだと思います。クラブ活動や受験勉強の辛さなどたいした辛さじゃないなあと思います。僕がそれほど荒れた気持ちを持たずに生きていられるのもそういった恵まれた環境があったからじゃないかと思います。もっと感謝して、人間としてやれるだけの事はやらないといけないなあと今更ながらに思います。

クロピンは成績優秀だったけれども、家庭の事情で大学に行く事ができずに地元の小さな会社に就職したはずです。クロピンの事を考えるとなぜか申し訳ない気がしてしまいます。どこに原因があるのか分からないけれども、そういった悲しい家庭で育つ子供ができてしまうことを何とかしないといけないと思います。親が働いていなかったのでしょうか。借金を抱えていたのでしょうか。ギャンブルや酒で浪費していたのでしょうか。クロピンが心に抱えていた傷は途方もなく大きかったと思います。クロピンがまだどこかでガッツポーズをしている事を願います。